9月6日金曜日、博多駅のJR博多シティ会議室にて実施された「労務管理責任者講習」の講師をして来ました。昨年も同講習の講師をさせていただきましたので、2度目になります。
同講習は、日本内航海運組合総連合会主催で、海事代理士が講師を務める(私も日本海事代理士会から話をいただいております)、国土交通省の認定講習で、最後に確認テストも実施されて合否も判断される重要な講習になります。
労務管理責任者は、令和4年4月1日に施行された船員法の改正に伴い、新たに船舶所有者が労務管理記録簿等を管理させるために選任が義務付けられています(船員法第67条の2)。
昨年は、弁護士という立場から、「船員法及び関係法令」と「船員からの相談対応」の講義を担当させていただきました。特に、「船員法及び関係法令」については、主に船員法の概要や陸の労働者に適用される労働基準法・労働契約法との相違点などについて解説させていただき、私にとっても、専門の書籍などが少ない船員法の知識を深める上で、非常に有意義な機会となりました。
今年は、昨年と同じ「船員からの相談対応」に加えて、新たに「適正な労務管理体制」の講義を担当させていただきました。
昨年に引き続き担当させていただいた「船員からの相談対応」は、主にセクハラやパワハラなど、弁護士として馴染みのある事項を取り上げました。船員は、労働と生活の場が一体となる特殊な就労体制になりますので、ひとたびハラスメントなどの問題が発生してしまうと、陸よりも深刻な問題となる可能性を秘めています。
そのため、船舶所有者は、ハラスメントを防止する体制の構築や、各船員がハラスメントに対する理解を深めることが重要となります。
特に、今回の講習の主な対象である労務管理責任者の皆様には、適正な労務管理体制の構築に向けて、大きな期待が寄せられているところです。
次に「適正な労務管理体制」については、令和4年3月に国交省海事局から公表された、「船員の労務管理の適正化に関するガイドラインの解説」を元にして、今回の船員法の改正で、船舶所有者やオペレーター、荷主など、船員を取り巻く環境全体が見直され、労務管理責任者の選任という新しい制度が設けられた全体像を解説させていただきました。
毎年、このような専門講習を担当させていただくことで、私自身も船員の働き方改革を理解し、今後の業務に役立てていければと考えています。
船員の労務関係、労働事件についてのお困りがあれば、お気軽に当職までご連絡ください。